造景 創刊準備シンポジウム 「新しい都市の雑誌を考える」

〈第一部・鼎談〉 都市の雑誌 これまでとこれから
佐藤滋(早稲田大学研究院教授)+饗庭伸(首都大学東京教授)+八甫谷邦明(年報『造景』編集長)

〈 第二部・議論〉 新しい都市の雑誌で何ができるか?
石榑督和(東京理科大学)+泉山塁威(東京大学/ソトノバ)+鈴木美央(O+Architecture)+高道昌志(首都大学東京)+鄭一止(熊本県立大学)+野原卓(横浜国立大学)+松浦健治郎(千葉大学)+真野洋介(東京工業大学)

饗庭: かつての『造景』を、例えば『都市住宅』などと比較して位置づけるならば、「草の根の技術」をしっかり拾い上げていこうという雑誌だったと思います。

佐藤:『 造景』が創刊に向けて準備をしていた1995年は、まちづくりにとって大きな転換点でした。ちょうど行き詰まりと共に新しい可能性も見えてきた時で、そこに阪神淡路大震災が起きた。それまで蓄積してきたことを再編成する時期に来たと思いました。

まさにそのタイミングで『造景』が創刊され、私はすべてをこの雑誌にぶつけたいと思ったのです。

佐藤: その後まちづくりの分野でも、新しい考え方や試みや成果もいろいろ出てきたけれど、『造景』が持っていたような軸が、いま改めて必要になってきているのではないでしょうか。どうやってそれらを「統合」し「表現」していくか、これが問われてくると思うのです。それに応えていくには「年報」というかたちが相応しく、時宜を得ていると思います。

八甫谷: 以前の『造景』は、どちらかといえば「編集者先導」型でしたが、今度の新しい媒体はもっとフラットな「参加」型を目指したいと考えています。「年報」なら時間的余裕もできるので、それも可能だと思っています。

佐藤:『 造景』を何らかの形で復活させたいと考えて、饗庭さんに相談したところ、「WEBなら自分たちでもできるから魅力を感じない、紙媒体でならぜひやりたい」と言われました。やはりしっかり編集されたものが、紙とい
う媒体によって千年も残るという意味は、大きいです。

泉山: WEB マガジンをやっている立場から言うと、WEBメディアは情報発信の速度は非常に速い。しかしその分すぐに古くなり、消えてしまいます。逆に書籍や雑誌は発信速度は遅いですが、後世に残すこともでき、アーカイブ性があると言えます。

真野: 来るべき『造景』は、ほとんど捨て去られてしまったようなまちの再構築という問題にも、正面から向き合わなければならないでしょう。現在の都市の現実、例えば「都市のスポンジ化」などに、どう対応してくか。あるいは現在進められている「緩和型」の都市計画について、どう扱っていけばいいのか。自分としては、「都市」と「地域」を組み合わせて考えていきたいと思っています。

(2018 年8月7日 首都大学東京秋葉原キャンパス)

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造景2019

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そうした問題に深く関わる自治体やコンサル、研究者、建築家、市民などの、課題への対応事例を紹介する。

単行本(ソフトカバー): 204ページ
出版社: 建築資料研究社 (2019/7/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4863586302
ISBN-13: 978-4863586307
発売日: 2019/7/2